みなそこすなどけい2

水底砂時計ni

短歌

「今日」のこと ――仲田有里さんの歌について(1)

OLが一人一本傘差して祭りも昨日終わって今日は 仲田有里『マヨネーズ』 交差点をみおろしているような画を想像する。信号が変わって、ぱらぱらと渡り始める数人の女の人。「祭り」はお神輿や屋台の出るようなのじゃなくて、彼女らをながめる〈私〉にとっ…

歌の声、「私」の地平

『島田修二歌集』(国文社)をひさしぶりに開いた。たとえば次のような歌に、あらためて心を動かされる。 もの書きて畢るにあらぬこれの世の浄福に似てとほき夕映『冬音』 雨降れば甕にしづけく水溜るこの確かさに生きたきものを『渚の日日』 一首目、「あら…

For You(短歌15首)

For You 「へこたれていじけた子になっちゃだめよ」(志村貴子『放浪息子』) ぼくの夢は夢を言いよどまないこと窓いっぱいにマニキュアを塗る 逃げきった鳥が青だよ 周到に荊を踏んでちかづくまでだ 通学は放浪だからどうしてもパフスリーブのあの服が要る …

Sweet Blue Flowers(短歌7首)

Sweet Blue Flowers あの坂をおりたなら海 いつか君が花降らすように泣いていた海 あくまでも大人は遠く甃はだしのゆびで撫でているだけ *ルビ:甃=いしだたみ 嵐の丘に音を失くしていつだって春の気配のなか生きてきた 愛よりもおろかな深い井戸を汲み羽根…