みなそこすなどけい2

水底砂時計ni

下書きに残っていた四月の書きかけ日記

 お風呂のお湯を沸かす用の灯油タンクが空になり、タンクの蓋が固くてどうしてもあかないので銭湯に4日間通った。平日なのに旅先みたいな気分になった。髪が濡れたまま誰もいない路地を歩く夜が春だった。裸眼でみる街灯のひかりがぼやけていて、変なの、へんなの、とおもう。届いたとたんに記憶になってしまうひかり。まだ桜は咲いていないのにもう春も終わりみたいな気がする。良経の「あすよりは志賀の花園」の歌を口ずさむ。帰ったらあとは寝るだけだーとおもうと心がハイなまま凪いだ。