みなそこすなどけい2

水底砂時計ni

要は死ぬほどうらやましかったのだ ――『叛逆の物語』感想

劇場版『魔法少女まどか☆マギカ
[新編]叛逆の物語』を観てきたので感想を書きます。

 注意。ネタバレ回避しません。細かい言い回しとかは記憶が曖昧です。あと後半わりと自分語りがまざってうっとおしいし口調が乱れすぎ。こじらせてる。落ち着け。

 まず最初に言っておこう。僕は暁美ほむらが苦手だ。というより嫌いだ。テレビ版放映時からずっと。だから今回新編を観て、途中までは思わず身を乗り出すほど心躍らせたし、観終わったあとはまた違った意味でもっと彼女を嫌いになった。そもそもどうしてそんなにほむらにこだわるのか、なんで苦手で嫌いなのか、ずっと考えていて、いくつか答えを出してみた。たとえば10話視聴直後、Twitter(のご丁寧に鍵垢)にこんなようなことをつぶやいている。「結局ほむらはただのひとりよがりじゃないか。まどかさえよければ他のひとはどうなっても良くて、しかもその〈どうなってもいい〉の中に自分を当たり前に入れてるところが大嫌い」……などなど、他にもいろいろ考えたんだけど(同族嫌悪みたいなもんなのかー?とか)、だけど、どれもほんとうにはしっくりこなかった。でも今回やっとわかった。なんのことはない、たんに僕は彼女のことがうらやましかっただけのことなのだ、死ぬほど。

 前置き終わり。ここから箇条書きっぽくいきますね。

・冒頭、さやかと杏子が共闘してるの見ただけですでに泣きそう。
・まどほむふたりでおしゃべり☆をみて「鹿目さん手え早いっすよ」とかおもっちゃってごめんね。会ったその日とかじゃなくて一ヶ月後だったんだね……
・変身シーンかわいかったけどどぎつくてえぐくてうへえって思う。この時点で「ああやっぱみんな揃ってハッピー!みたいな世界じゃないんだろうな……」となんとなく察する。あとナイトメア浄化後のきらきらがソウルジェムにラメみたいに付着する(吸い込まれる?)のもなんとなく不穏に見えた。
・まどマミ技かわいい。
・ハンバーガーデートのときの杏子むっっっっっっっちゃかわいい。
・ほむらがマミのことを「苦手だった」って独白するところで、観にきてよかった!この時点でもう7割がた満足っすよ、とおもう。
・ほむvsマミかっこ良すぎ問題。マミさんは自分の正義に立ちはだかる相手には容赦なくて、そういうとこ好きです。
・「アンタの知ってるあたしだよ――転校生」 この時点でもう9割方満足っすよ、とおもう。
・さやかが自らの心臓に刃を突き立てて魔女になってほむら魔女と対面したとき「これ!!!!これが見たかったの!!!!!!」とそれはもういたく興奮する。身を乗り出す。応援する。涙流れる。
・お話の流れ的に超さやほむじゃん!っておもう。あと、なぎ×さや(さやなぎ?)もアリかもっておもう。魔女経験者同士だしさ。
・円環の理ご一行様が連れてる象さん超かわいい。
・(まああれだよねー、駄々っ子ほむほむのためにみんなが一肌脱いでおせっかい、って話よね。つらかったよね、よかったねほむほむ。もう救われたっていいんだよー)

・とか思ってたら反転だよ!!!!そりゃそうかこのまま終わるはずなかったか。(でもここからあとがあったので超傑作だったとおもう。そのせいでこんな感想を書き殴るはめになっている)
 
 ……と、ここで箇条書きおわり。さて。
 ほむらが世界を書き換えるときのあの黒と極彩色には見覚えがあった。知ってる。これ、知ってる。これと同じ景色しか見えない時期があった。でも当然のことながら僕は物語の中の人じゃないので、世界なんかちっとも、なんにも、チリひとつ書き換わらなかった。あの黒いのと極彩色のを、たぶん、愛だと思っていたのだとおもう。
 もう振り切った気でいたどろどろの欲望を見せつけられて、つらかった。なんか、だって、わかっちゃうからつらいよ(わかるとか言っちゃうの押し付けがましいから嫌なんだけど、それでもやはり)、とおもいながらエンドロールを眺めていた。参ったなあ、ほむら苦手なはずだったのになあ。「君の銀の庭」の優しい歌声と歌詞がつらかった。もうやめてよ、っておもいながら泣いた。シルエットのふたりを見るのがつらくて画面を直視できなかった。
 ほむらの唯一の目的はまどかにリボンを返しにいくことだったのだ。そりゃそうだ。納得。テレビ版のラストは、彼女が戦い続ける先に何があるのかっていうのが見えにくかったから(戦いの先なんて見てなくて、戦いつづけることそのものが目的みたいに見えたから)、どうにもすっきりしなかったのだ。でもそっか、そこまでちゃんとわがまま言ってくれたら、なんかわかってしまう。わがまま言わないで悲壮感だけ放って、背負ってるのよ、みたいなほむらが嫌いだったのだ。わがまま言えるんじゃん! もう一度まどかに触れたかったんだろ! だったらこんくらいちゃんと駄々っ子にならないと伝わんねーよ。やっと伝わったよ!

 (僕だってできるならそうしてたかった。もらったものを返しに行きたかった。無二の相手を守れるたった一人でありたかった。その相手に何度でも救われ、挙句身を挺して生かされたかった。その結果遠くに行ってしまった相手を覚えていられるただ一人でありたかった。独占したかった。どんな間違った形でもいいからそばにいたかった。)

 それを実現してしまったほむらが、たまらなくうらやましいのだった。だから嫌い。それだけ。そんな簡単なことだったのだ。で、今回ますます嫌いになった。変な言い方だけど、ちょっとはちゃんと嫌いになれた気もする。
 (そんなのぜんぶ気のせいかもしれない。)

 でも、でもやっぱそれだめじゃん、とおもう。悪夢から抜けたと思ったらまた別の、もっとたちの悪い悪夢じゃん。それほんとに自分で選択したって言えるのかよ。逃げて、見ないようにしてるだけじゃないのかよ。一生庭でおままごとしてろよ。だって、引き裂いた結果の、今アンタが抱きしめてるのじゃない方のまどかは放置じゃん。装置として利用してるだけじゃん。でもそれも含めて尊重しなくて、それって愛なのかよ。「自分でも気づかないほど優しすぎる、勇気がありすぎる」まどかが怖いからって、まどかのその部分を視野の外にやって見ないようにしてるだけじゃないの? 
 って、いじわるなことをどうしてもおもってしまう。その一点だけで僕はほむらを許せない。今のところは。もちろんいくらこんなこと言ったって、全然関係ない人間が許すもなにもないんだけど。
 (そして、たぶんだけど、ほむらはいつかまどかの腕の中で息絶えたいのだろうな、とおもう。あの雨降りのときとは逆に。)

 とまあそんなわけなので(まるでまとまってないけど)、これからの人生で暁美ほむらにあっかんべーし続けて生きていく。よ。だってあたしはアンタとは違う魔法少女になるんだ、もとい、僕はアンタとは違うものを愛と呼ぶんだ。もううらやましがってなんかやるもんか。べー。

君の銀の庭

君の銀の庭


追記 2013年11月24日
べべ→なぎさ へ呼称を変更するなど、細かい修正をいくつか。事前に公式サイトとか見てなかったので、「なぎさはチーズ食べたかっただけ」のとこで名前なんて言ってるのかあんま聞き取れなかったのでした。新キャラが出て、声が阿澄さんていうのは知ってたけど、キャラの名前がなぎさって知らなかったしべべとも結びついてなかった。