『叛逆の物語』感想その２
劇場版『魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語』の感想つづきです。
観に行ったその日に書いた感想はこちら↓
d:id:ashco_62:20131120 （「要は死ぬほどうらやましかったのだ ――『叛逆の物語』感想」）
言い残したこととか、あと新しく考えたこととかをつらつら書きます。
※ここから下はもちろん作品の内容に触れまくっていますのでご注意ください。
ほむらと銀の庭について
まどかがほむらの髪を三つ編みに編んでいくところはとてもとても残酷だった。結局片側が完成しかけたところでほどけるんだけど、でも結局最後にはその残酷さの方をほむらは選んだ（自らの手で選びなおした）のだった。
でもほむらが「救われるのを拒んだ」ことに関しては、ばっかやろーとは思うけど許すも許さないもなくて、特に怒る気にはならんのよね。救おうとしてるんだからお前はぜひとも救われなくては駄目だ、みたいなのは行きすぎるともう暴力だと思うし。だから僕はけっきょく、ほむらがまどかの／月の／三つ編みの、〈もう片側〉を完全に視野の外に追いやっちゃって自己充足しちゃってるのに怒ってるわけなのですよ。（でも怒ってるとは言ってもテレビ版のときみたいに戸惑いはなくて、その理屈はわかるがわかるからこそ許さん、みたいな感じ。今までは「なにこいつもー」だったのが、愛憎みたいなものに変わったというか、新編を観たのでほむらがだいぶ身近になりました）
杏子とさやかについて
どの世界、どの時間軸でも杏子はけっこう割りを食っている印象。新編では見滝原（結界）の謎に気づく鍵になったけど、それはほむら側の事情であって杏子から能動的にうごいて役割を担ったわけではない。
マミ−なぎさの関係と杏子−さやかの関係は非対称に思える。マミはほむらと直接対峙した上でなぎさ自身の口からちゃんと説明を受けたけど、杏子はほむらに（杏子からしたら）わけわかんないこと言われた挙句、最後に束の間さやかと背中合わせで会話できたのみで、一番置いてけぼりっぽい。
杏子って義理堅くて情には厚いけど一線を越えて深入りすることはしなくて、一番他人に深入りしたのって本編で魔女さやかと心中したときだから、そういう意味で９話（に到る流れ）って特殊だし貴重。
杏子は教会でさやかにりんごを差し出して拒まれたけど（７話）、新編ではちゃんと渡せたのかな。あれで渡せたことになるのかな。ていうかさやかはぜんぶ覚えているのに黙ってなくちゃいけなくて、一緒に住んでて、それって絶対言いたくなるときあるじゃん！！ つらい！！ そんなときさやかちゃんはこっそりなぎさに相談するわけですよ。という妄想。だからなぎ×さやあると思います！
それはまあ置いとくとしても、魔女になりかけほむらの結界が設定として優れているのは、悪夢なんだけど夢を見ているほむらが恣意的に作り上げただけの世界ではなくて、キャストは本人ってところで、なるほどその手があったかー、ですよほんと。これがあるからほむらはまどかに、杏子はさやかに、マミはなぎさに、単なる仮想のアバターとしてではなくちゃんと身体を伴って再会していて、触れ合っていて、でも決して望んだ通りの再会じゃなくてっていうのがぐっと来るわけだ。杏さやに関して言えば、さやかは杏子に隠しごとしながら、杏子はそれを再会と知らずに一つ屋根の下なんですよ！ それでも表面上は楽しく毎日を過ごしていて、その交歓は決して嘘じゃないけど、でもでもやっぱりどこか違ってまやかしで、あああーー、想像するだけで！！ 悶えしぬ！！ 事前に今回の杏さややばいよとは聞いてて、確かに杏子が制服で、通学路でじゃれあって、戦いのときには意思疎通してコンビネーション決めて、それは待ち望んだ光景だったけど、でも根本的にはほんとうの再会ができてないんですよ！！ どちらかというと余計切ないよ！！！ だから宇宙書き換え後に杏子がさやかにポッキーを差し出してる場面が映って、さやかも受け取ったに違いないんだけど、でもそれじゃ７話の教会で杏子が差し出したりんごをさやかが受け取ったことにはならないんだよー！！ つらい！！
さっきから結局延々と同じこと言ってるのでこの辺にしておきます。えっと、新編のさやかの科白では「鞄持ちみたいなもんっすわー」がさらっと出てきたのが一番感慨深かったです。以上。
